ほしのいろ

るっかの個人メモ。

バケモノの記憶

むかしばなし。

 

高校に友達がほとんど居なかった私だが、今でも印象に残っている女の子がいる。

Aさんとでもしておこう。

 

1年次、Aさんは別のクラスで、帰り道にたまに見かけていた。

ある日、Aさんと同じクラスの友人Bと帰ってる途中、Aさんを見かけた。

Bいわく、Aさんは「変人」。このときはそれほど印象に残る存在ではなかった。

 

2年次、Bと同じクラスになった。Aさんとも同じクラスになった。

さて同じクラスになって、どうやらAさんは相当賢いということがわかった。おそらく、学年1割に入るくらいの成績。私は学年の半分にすら入っていなかったので、賢い奴もいるもんだな、と思った。

 

さてこのAさん、スポーツも結構得意だった。特に短距離はリレーの選手に選ばれるくらい。

さらに、某競技でもある程度の実力があった(後から知った)。この時点で私のライフはゼロ。もうコイツには勝てないなと思った。

 

それだけなら、世の中には優秀な人がいるもんだなーで終了だが、Bの言うとおり、Aさんはちょっと変わったところがあり、それがAさんを印象付けている。

 

最も印象に残ってるのは、冬の登下校。

真冬でもマフラーも、手袋も、コートも身に着けていなかった。理由は知らない。もっとも、毎日見たわけではないので(むしろ見てない日のほうが圧倒的に多い)、着けた日もあったのかもしれないが。寒かったろうに。どうにも彼女の能力とのミスマッチが面白く、妙に記憶に残っている。

 

3年次になって、Aさんとは別のクラスになった。

妙にほっとした。自分が、ただのクラスメートとはいえ、彼女の人生に介入するのは申し訳が立たないと思っていたから。自分にとってはそれくらいの人だった。

 

感覚としては、好きなスポーツ選手やアーティストに近い。私達は、彼/彼女らにいつまでもいいプレイを見せて欲しい、いい曲を出して欲しいと願う。私は、Aさんに、いつまでも自分にとっての憧憬の存在でいて欲しい、そういう念を抱いていた。邪魔なんかしてAさんの人生に歪みが生じたら大変だ。

 

いや、そう思うことすら、おこがましいかもしれない。私なんかとはレベルが違うんだから。

 

Aさんより優秀な同級生も居た。男女問わず。

ただ、Aさんほど記憶には残っていない。

 

高校を卒業して長い月日が経った。

Aさんが何をしているのかはよく知らない。もっとも、知ったところで何かできるわけではない。

ただ、Aさんには、私にとって憧憬の対象であり続けて欲しい。大学に入って、自分より優秀な人には何人も出会った、しかし今のところAさんに代わる人は居ない。どうか、並び立つような人が見つかるまで、あの優秀な姿でいて欲しい。自分のメルクマールであって欲しい。

 

それは私には出過ぎた願いなのかもしれない。Aさんにとってみれば、私の願望なんて勝手で気持ち悪いものだろう。それは私も分かっている。

しかし願わずにはいられない。